真夏の中村あゆみ

2013年4月・5月

真夏の中村あゆみ Vol.22

 年末にサイパンに遊びに来てくれて以来、今年はじめての再会となった今回の取材。NEWアルバムのリリースを控え、ますます多忙を極める中、中村あゆみは久しぶりのオフの日に時間を割いてくれた。指定された場所は新宿のカフェ。なかなか取れない休みとあって、中学3年に進級するお嬢さんも一緒、という話だったが、姿を現したのは彼女ひとり。「あれ? 娘さんとご一緒では?」。どうやら愛娘は単身ショッピングに出かけたらしい。「大丈夫、大丈夫。もう中学3年生なんだから。さ~て、何を飲もうかな~」。といっても、ここは新宿。昼間とはいえ、たったひとりで街を徘徊させるには親としてはハラハラなのでは? しかし、娘を心配する様子は微塵もない。むしろ解放感さえ感じさせる彼女。このデンとした余裕は一体、どこから湧いてくるのだろうか?

 ふと、ずっと以前に本人から聞いた話が甦った。実は彼女、家出して独り暮らしをはじめ、働きながら学校へ通っていた。それが中学3年から高校生になる春のことだった。この経験は決してマイナスではなく、現在の‘中村あゆみ’の大きな礎になった、と遠い日の自分を目を細めて懐かしんでいたことを思い出す。「最近、チビが私を必要とする時は、お腹が減った時と、お金がいる時くらいだよ。もちろん求められれば必要性を考えて応えるけど、ほとんどのことは自分で解決してるんだよね。これって大人になるための重要なプロセスだと思うし、未来なんか誰も計り知れないじゃない。親のキャパシティに閉じ込めて、才能やチャンスを枯らしてしまったら、それこそ申し訳ない」。たとえまだ子どもだとしても、縛り付けず、湧きはじめた意志を第一優先するこのスタンス。大自然に暮らすサイパンでは当たり前のように思えるが、日本ではもう、なかなか出逢うことがない。「自分の子どもを信じることよ」。ポツリとつぶやいた彼女の何気ない一言。すべての答えがそこにあった。

 「今は逆に私のほうが、いい意味で若い感性やトレンド教えてもらってる感じ。親子が足りない部分を補い合う関係かな? 毎日、楽しいよ!!」。ちょうどその時、愛娘がやってきた。イキイキとしたその笑顔は、サイパンの海のように、そこに暮らす子どもたちのように。太陽をたっぷり浴びて咲きはじめた、あの頃の中村あゆみのように、キラキラ眩しく輝いていた。

真夏の中村あゆみ 中村あゆみオフィシャルチャンネル
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