真夏の中村あゆみ

2012年1月

真夏の中村あゆみ Vol.13

 2012年が幕を開けた。もちろん、この記事を書くために中村あゆみに会ったのは、昨年の12月。心まで震えそうな厳寒の夜だった。お越しいただいた場所は、11月にオープンしたばかりの『N@chan!X』。本誌がプロデュースする東京・六本木にあるBarだ。 「おはよー」。約束の時間の少し前に、元気に登場した彼女の表情に疲れは見えない。師走、その過密なスケジュールの合間にもかかわらず、だ。「いつも元気だねぇ」「今年はいろいろあって、世の中みんな自粛ムードだったでしょ?

 いつまでもそれじゃ日本も元気にならないしね。来年に向けて元気出していこーー!!って感じで」。華奢な身体のどこからこのパワーが湧き出てくるのか。不滅のロックスター・中村あゆみの底力に触れると、どういうわけか身体がぽかぽかしてきて、寒さも吹っ飛んでしまうから不思議だ。 月並みではあるが、時節柄、2012年の抱負を聞いてみた。「まず、来年はパーッと明るく日本を照らすような歌をつくりたいな。そして、日本武道館のライヴ実現に向けて一歩一歩、きちっと歩みを進めていきたいと思ってる。あ、そうだ! ゴルフもだ。田中さんはどう? 私は90代で回れる日も近いかも。サイパンのゴルフ場で勝負する約束、忘れてないよね? あれも、やらなきゃ!」。僕は彼女とラウンドして以来、1度もクラブを握っていない。まずい!と思いながらも、「いいねぇ。ぜひ、行きましょう」と元気に答えてしまった。

 元気といえば、アルバム『1966628』に収録されているセルフカバー曲「BROTHER」。震災直後のステージで、被災地の方々に向けて‘元気を出して頑張ってほしい’というメッセージを込めてネット配信された曲だ。‘WoBrother・・・新しい時代を創り出せばいいのさ・・・’からはじまるその歌詞を追っていくと、‘滅びそうな地球を目の前に暮らしてる 投遣りな気持ちじゃ何にも始らないのさ・・・’というフレーズが登場する。まったくその通り。まさに2012年のスタートに相応しい元気が出るベストソングである。有名スポーツ用品メーカーのCMソングになり、大ヒットしたことは広く知られるが、よく考えてみるとそれは20年以上も前の話。まさかこの時代を予期していたのか、作詞作曲を手掛けた中村あゆみの感性に、あらためて驚かされるところだ。サイパンのブラサーたちよ。ぜひ、この曲を聴きながら、元気いっぱいに新年の祝杯をあげようじゃないか!

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