今月の特集 Vol.22_2
一度はTRYしてみたい!!サイパンのトライアスロン
トライアスロンとは?
‘TRIATHLON’はギリシャ語で、TRIは数字の‘3’を意味し、ATHLONは‘競技’の意。スイム(水泳)、バイク(自転車ロードレース)、ラン(長距離走)の3種目を1人でクリアする耐久競技で、競技距離は「ショート・ディスタンス」および「オリンピック・ディスタンス」と呼ばれるレースは、スイム1.5km、バイク40km、ラン10kmの合計51.5km。「ハーフ・ディスタンス」は、スイム2.0km、バイク90km、ラン21kmの合計113km。この他にも「アイアンマン・ディスタンス」というレースもあり、スイム3.8km、バイク180km、ラン42.195kmの合計約226kmを泳ぎ、走りぬく。肉体と精神力が問われる過酷なスポーツだが、昨今のマラソン、自転車ブームにより、世界的にファンが急増中。
試合翌日の出発でお疲れか?と思いきやエネルギーは満タン!!
東京・青梅市を拠点に活動を続けているKFCトライアスロンクラブ(青梅市トライアスロン協会)の設立は1991年。代表・大西喜代一氏が率いるメンバーたちはその年、タヒチで開かれた『第1回国際モーレア島トライアスロン大会』に初参加した。以来、このスポーツの魅力にとりつかれ、「トライアスロンは椰子の木が生えている常夏の気候と綺麗な海でやるから楽しいんだ!」と翌年も参戦。もちろん3年目の大会もエントリーしたそうだが、楽しみにしていた大会は直前になって中止になってしまった。出場する気満々で調整してきただけに、メンバーたちもこれには気持ちが収まらず、「観光でもいいからロタ島に行ってみないか」と急遽、方向転換。そして、一行が訪れたその島は…ロタブルーの海、深く濃い緑、素朴でフレンドリーな島民が眩しいほどに美しい、まさに楽園そのものだった。
この出逢いに感激した大西氏が「ぜひ、この島でトライアスロンをやろう!」と決意して、『第1回ミクロネシア・トライアスロンinロタ』を主催したのは1994年のこと。現在、KFCトライアスロンクラブでは国内外で数々のイベントを主催・運営しているが、その最初の記念すべきイベントが、このロタ島での大会。今年も開催される予定で、実に20周年を迎える。
3月16日に開催されたサイパンでの大会もサポート。
初めてのロタ島大会の翌年、1995年にはKFCトライアスロンクラブをモデルにして‘北マリアナトライアスロン連盟’がサイパンに設立された。そして同クラブが大会運営を全面的にサポートし、サイパン島での大会もスタート。以降、日本人を中心に参加者が急増。最盛期には日本から300~400人が参加した年もあるとか。
トライアスロンは公道や海を使用するうえ、そのほかのスポーツに比べてコースの距離が極端に長い。また、危険がないように整地したり、給水所やシャワー、自転車の置き場なども確保しなければならない。となると、たとえ小規模であっても運営するにはたくさんのスタッフが必要になり、規模が拡大すればするほど、そんな悩みも掛け算で増えていく。山積みの課題をクリアしていくためには、政府関係はもちろん地域住民との信頼関係・連携が何より大切になり、彼らがそこに費やした労力は計り知れない。
ちなみに本年3月16日に、サイパン島で開催されたトライアスロンレース『第24回サイパン・タガマン』も同クラブの協力のもとに開催された。今やKFCトライアスロンクラブのネットワークは日本国内はもちろんグアム、サイパン、テニアン、ロタ、パラオにまで根を拡げ、イベントの少ない南の島を盛り上げている。「回を重ねていくごとに、現地の選手やボランティアの人たち、それに政府関係者の方々との絆が強くなって。おかげで‘南の島の仲間たち’という強力なネットワークが構築されました。今は私たちのノウハウを提供していますが、最終的にはそこに住む人たちの力で積極的に運営してもらい、経済活性化の大きな原動力にしてほしいですね」とは代表の大西氏。その飾り気のない笑顔に、ミクロネシアへの深い愛を感じた。
6月にはテニアン島で開催!『ターコイズブルー・トライアスロン』
一般にはあまり知られていないが、お隣のテニアン島を舞台に6月22日(土)、『第13回ターコイズブルー・トライアスロン』が開催される。テニアン政庁とKFCトライアスロンクラブが力を合わせて主催する、年に1度のビッグイベントだ。6月のテニアンは海が穏やかで、透明度がグッと高くなる、まさにベストシーズン。1.5kmのスイム会場は、ほかの島とは異なるトルコ石のような青色(ターコイズブルー)で、風がないこの時期は、同クラブが開催するアイランドシリーズの中でも最も美しいスイムを体験できること間違いなし。
続くバイクは、緑の樹海を切り裂いて延びる少しハードな40km。途中には一直線に天に向かって延びていくような全長2kmの急坂もあり、選手を飽きさせない極上のコース。路面のコンディションも良好で、小さな島というより大陸を走っているような感覚に、ふと陥るというこのロード、テニアン島が別名 ‘ミステリアス・アイランド’と呼ばれる所以がそこにあるそうだ。
最後のラン10kmは、往路は上り、復路は下りの設定。給水場は1km毎に設置され、スタッフとしてテニアンの小・中・高校生らがボランティアで協力してくれているそう。体力が限界を迎える終盤も、ハートフルなチャモロ・ホスピタリティに力づけられてゴールを目指すテニアンでのトライアスロン。すべてにおいて完成度の高い大会になることは間違いない。
リーフスイムの大会も同時開催。海だけなら、という人も大歓迎!!
大会当日はトライアスロンに加えて、スイムのみの『第12回ターコイズブルー・リーフ・スイム』が同時開催される。距離は1.5km、3km、4.5kmの3コース。スタート地点は海面から魚が見えるほど透明度の高いタガ・ビーチ。レスキューは地元テニアンの警察署内にある、海を守るセクション‘ボーディング・セーフティ’が担当。安全性もしっかりと確保されているので、初心者でも安心してトライできる。この時期、水質も透明度も抜群のターコイズブルーは、感動の極み。自転車は持ってないし…という人も、このチャンスにスイムだけでもトライしてみてはいかがだろう。
また、リーフスイムの参加者は、トライアスロンの‘ファン・ラン10km’に無料で参加できる特典も。体力に余裕があれば、ぜひ、こちらへもご参加を。逆に、泳げないし自転車もムリというのなら、現地で$60を支払えばファン・ランだけのエントリーもOK! しかも、すべての参加者はレース後の表彰式&パーティーに招待される。真夏の太陽の下で爽快に汗をかいた後は、みんなで大いに盛り上がる。これも南の島だからこそ楽しい1コマだ。
大自然を守りながら、健康で豊かな生活を。
今回の取材にあたり、東京都青梅市に住む大西氏を訪ねた。待ち合わせの場所は‘成木の家’と名付けられた素敵なログハウス。なんと、KFCトライアスロンクラブのよき理解者である地元の方に話を持ちかけたところ、古い木造平屋をすぐにリノベーションしてくれ、現在、自転車やランニング、ハイキングなどを楽しみに来る人たちのための憩いの場として無料開放しているそうだ。
地元成木産の木でつくられた室内は、ゆったりと休憩できるスペースに加えて、お風呂も完備。自然をダイレクトに感じられる屋外テラスもあって、お弁当やドリンクは持ち込み自由。もちろんバイクラックも設置されていて、誰でも快適に利用できる。
「根っから自然が好きなんですよ。湧き出る水、そこで育つ豊潤な野菜や果物。その中で生きる人たちも心が澄んでいて。なのに過疎化が進んでいるのが実状なんですよね。マリアナ諸島の島々もそのひとつ。環境にも健康にも素晴らしいスポーツを通して、地域が活性化して経済効果もあれば…これに越したことはありません。私たちの活動が少しでも社会のお役に立てればうれしいですね」と大西氏。彼の想いが花を咲かせ、実を結ぶことを願ってやまない。
KFCトライアスロンクラブ/青梅市トライアスロン協会
〒198-0011 東京都青梅市塩船7-1-103 TEL.0428-31-4911
Mail:info@kfctriathlon.jp URL:http://www.kfctriathlon.jp